10月1日付人事発令 昇格するかこのままかを予想していたら全然違った話。そして周りの様々な反応【完結】
私の所属する会社で10月1日付けで人事が発令されました。前回、前々回に続いて、今回はその完結編を記します。引き続き登場人物の名前のみデタラメです。
前回、前々回まで
詳しくは前回、前々回記事に書かれておりますが
この人事をめぐる舞台の会社規模は、日本法人100名ちょっとの外資系製造メーカー。
この人事の対象となる職位は、上からプレジデント、ディレクター、マネージャー、セールススペシャリスト、セールスといった順で職位があるなかで、マネージャーとセールススペシャリストの間に「アシスタントマネージャー」という職位が新設され、それに伴う人事発令について。
登場人物7名それぞれの人事の結果をまとめると、
佐藤:48歳マネージャー。私の上司。鬼軍曹
⇒今回の人事には関係無し。
渡辺:45歳セールススペシャリスト。先輩。北海道。仲良し
⇒アシスタントマネージャーに昇格。
中村:40歳セールススペシャリスト。先輩。九州。そこそこ仲良し
⇒アシスタントマネージャーに昇格。
乙川:42歳セールススペシャリスト。先輩。関東。嫌い
⇒セールススペシャリスト据え置き。
井原:35歳セールス。東北。同期。仲良し
⇒セールススペシャリストに昇格。
上岡:29歳セールス。中四国エリアの後輩女子社員。仲良し
⇒セールススペシャリストに昇格。
自分:42歳セールススペシャリスト。凡庸。
⇒セールスになり無役に。
昇格するかな~と思っていたところ、嫁様の予想、見立てが当たり、昇格どころか無役になった、というところまで書きました。
人事のメールを読み、「マジか~」と落胆の声を上げたところから書き綴ります。
素早く精神を立て直し、スタンスを固めろ!
ん!?おおおおおマジか!!
マジか~…。
そっか~。そうくるか~・・・。
もともとアシスタントマネージャーに昇格か、セールススペシャリストに据え置きかが興味事だった今回の人事。まさか無役のセールスになるとは思ってもいない。
その瞬間に受けたショックは小さくはない。
アシスタントマネージャーに昇格した渡辺さん、中村さん2人は私の目から見てとても優秀であり、昇格そのものは至極妥当である。
優秀な営業マンではあるが性格に難があり、セールススペシャリストに据え置きの乙川さんへの処遇も納得。やはり数字だけではダメだ。
同期で一生懸命頑張ってきた井原くんがセールススペシャリストに昇格するのも納得だ。むしろ遅すぎると言える。
入社した時から指導してきた上岡さん。メキメキ実力を付けて、今年の営業成績も抜群に良い。仕事のクオリティも人柄も申し分無く、次世代のエース。彼女に対し心からリスペクトしている。4年目20代でセールススペシャリストに昇格するのは当然、というよりも自分が組織に対して求めていたことだ。
この5人に対しての昇格、据え置きの人事は(現場レベルの人事だけじゃなく、もっと上の!といった根源的な問題は置いておいて)至極妥当なものである。ならば自分に対してだけ人事が不当である、と考えるのは自己中心的に過ぎる。
急げ・・・!
急げ・・・!!
一体何に対して急ぐのか?
それは今回の人事に対して、対外的な立ち振る舞いのため、自分のスタンスを固めておくことだ。
納得しているのかしていないのか。
納得した上で気持ちよく頑張りますスタンスでいくのか。
納得できない上で不満を持ちながらも頑張りますスタンスでいくのか。
全社一斉に発信されたこの人事メール。
会社からの事務的な説明であれ、励ましであれ、なぐさめであれ、からかいであれ、数十分後、数分後には必ず誰かしらから電話がかかってくる。それまでに自分のスタンスを固めるために、今回の自分に対しての人事を検証して、腹に落としておく必要がある。
なぜ、自分はセールススペシャリストからセールスに降格になったのか?
前回記事での嫁様が説明してくれた、「きっとあなたはマネージャーにはなれない」理由。
「安定的ではあるけども、目立った成果も無く、強みは本来の意味での営業とは関係無いし、スキルもアラフォーとしては標準的。悪い人間ではないのは認められているが、リスペクトされている存在でも無い。そんな成果も華々しいわけでもなく、覚悟も無いあなたが、部下を指導するマネージャーになれるはずがないし、適任ではない。ただし使い勝手は最高なので、クビにはならない」
これが中らずと雖も遠からず、なのではあるまいか。
そもそもが、自分のストロングポイントだと思い込んでいる「安定的」。直近3年の数字を見直してみる。
2016年達成、大きく超過。2017年ギリギリ達成。2018年大きく未達。◎〇✖。
2019年8月末時点で、2019年営業成績ランキング最下位層。
まず、これだ。
これは自身の2019年の数字の8割を9月に固めていたせいで、9月末時点では上位に浮上し、2019年も目標達成見込みではあるが。しかしおそらく人事考察が行われたのは8月末時点だろう。その時には2019年も大きく未達見込み。
「ぼ、ぼくは9月には年間数字の8割をぶっこむ予定です!だ、だからぼくだけは8月ではなく9月末時点の見込み成果で考察して下さい!!」というのは無理な話だ。
ストロングポイントだと思っていた「安定的」に数字を作る部分。実は年単位では「右肩下がり」、月単位まで落とし込めば、「2年連続で安定して大きく未達見込み」というのが実情だ。
もう1つ致命的な点がある。
年1回、上司である佐藤と面談をするのだが、その際「自分はマネージャー職には興味が無い」という意思を明確に伝えている。さみしそうな顔をする佐藤に対して。
当然のことながら、会社組織は将来管理職を目指してキャリアを積み、得た経験をプラスの影響力として会社に還元していく社員を登用する。
「責任を負いたくないのでマネージャーにはなりたくないけど、アシスタントマネージャーまではなりたいで~す!!うふっ」というのは虫が良すぎる。
自分以外の5人の、直近3年間+2019年8月時点までの成果数字で自分が劣っている事実を確認し、自分が会社に対してとった歓迎されないスタンスを思い起こし、自分がアシスタントマネージャーに昇格できないことについては、納得できた。
では、セールススペシャリストからセールスに降格したことについてはどうか?
これは簡単には受け入れられない。
確かにこの数か月間、対家族や趣味以外の、生産性に関する己の持つ全てのエネルギーを仕事に向けていたかというと、そうではない。しかし労働に対する対価は、成果に対して払われるものであって、あえて降格に値するほどのパフォーマンスかと言われるとそうとは思えない(2019年9月末には2019年営業ランキングも浮上することが自分にはわかっているし)。
製品知識その他もろもろ、セールスという同じ職位となる若手社員に相談される立場でもある。
果たして未熟な若手社員、未達を続けるベテラン社員と同格か?否。
納得できる部分と納得できない部分がないまぜになり、自分のスタンスが固まらない中で、残念。時間切れだ。上司の佐藤から電話がかかってきた。
佐藤の電話
「すまん・・・。」
佐藤さん、やめてくれ。
佐藤さんの謝罪の第一声を聞いて、こらえていた涙が堰を切ったようにドッと溢れた。
・・・というほどセンチでは全くない。
「なんすか?すまんって笑」努めてあっけらかんと会話をスタートさせた。
佐藤という男。
前々回記事でも書いたが、佐藤は仕事に厳しくも情に厚い、熱い男だ。鬼軍曹。
長い付き合いで、今では上司部下というよりも戦友のような関係になっている。
佐藤は部下に厳しい。目標達成に向けて妥協を許さず、部下に強い負荷をかける。自分が新卒新人で佐藤の部下に付いたら、泣いてしまうかもしれない。
が、自分にも厳しい。少なくとも自分よりは強い覚悟で仕事をしている。
佐藤は自分にも他人にも厳しいそのスタンスゆえか、一度マネージャー職を解かれ、セールススペシャリストに降格している。サラリーマンで1度降格して這い上がるのは、なかなかに難しい。
普通ならそのまま退職してもおかしくない状況の中、佐藤は3年連続で営業TOP3に入り、衰えない営業としての実力を見せつけ、マネージャーに返り咲いている。
新製品の発売等の時流に乗り、誰でも商品が売れる時にマネージャーに昇格し、そのまま居座り、マネジメント能力が無いだけでなく、実は現在のイチ営業としても通用しなくなっているが指示だけ出す、いわゆる老害管理職が多い中、佐藤はイチ営業としても優秀な実力をもっている。
いや、それもきっと才能だけではない。降格した際、炎が出るほど悔しかったろうに、覚悟を固め、死ぬ気で努力した結果なのだろう。
佐藤は部下に厳しい。が実はやさしい。体を張って部下を守る。
今の会社に転職した時、初めての上司が佐藤だった。
異業種から転職し派遣社員として部下になり、ど素人で全く戦力にならない自分を、佐藤は身を削って指導してくれた。未熟ゆえに犯してしまった仕事上の大きな失敗を、会社に対して佐藤は身を挺して何度もかばってくれた。
そのかばってくれた事実も、本人からではなく周囲から私に伝わってくる。
それまで働いたことの無い初めての赴任地は東日本。新天地で右も左も分からない土地で、ポツンと嫁様と幼い娘と私。家族も自分も周囲に全く知り合いがおらず不安で孤独な中、よく佐藤は家族ぐるみで食事にさそってくれた。当時それがどれだけありがたかったか。
初めての上司が佐藤でなかったら自分はとっくにこの会社を辞めているのではないか。
恩義。
少しおおげさになるが、佐藤に対し強い恩義を感じていた。
そして年月は流れ、自分が営業として一人前になったと思えた時に、また佐藤の部下になることができた。半人前だった時に受けた恩を、今度はこちらが返す番だ。
であったはずなのに自分がふがいなく、結果として佐藤を謝らせている。
誰に対して?私に対して。
「すまん・・・。」
佐藤さん、やめてくれ。
俺に対して何を謝る。謝りたいのはこっちだ。
「アシスタントマネージャーによう上げ切らんかったわ」
へ?
「いや、佐藤さん?上げ切らんかったどころか、俺セールスに下がってるんすけど?」
「あれ?なにお前。やっぱりそんな風に考えてたの?まあな、会社も説明不足だわな。実はこの人事、俺も最初なんじゃこりゃと思ってディレクターと人事に確認したのよ。
俺もお前をアシスタントマネージャーに推薦してたからな。んで言われたのは、お前のセールススペシャリストとしての実力評価と、会社への貢献度はもう十分に見極められてて、アシマネ候補には間違いないんだけれども、去年と今年の数字が悪くて、上げる説明が上(本国)にも下(日本法人&営業部内)にも付かないと。だからギリギリ、アシマネに上がりきらんかったみたいやわ。俺の力足らずの部分もあって、だから謝ったのよ。」
「いや?佐藤さん?だから、上がらんかったどころか、下がってんすけど?」
「役職としては無役になるけど、職級は変わらないよ。」
「へ?そうなんすか?」
ここで説明させて頂くと、我が社では「役職(肩書)としての職位」と「給与ランクとしての職級」がある。アシマネ、セルスぺ、セールスは役職で、職級とはまた別である。
役職と職級は通常リンクしている。自分も役職が無役になることで、当然職級も降格すると思っていたが、今回はそうではないらしい。職級はそのまま。
「まあ簡単に受け入れられ難いのはわかるけどな。セールススペシャリストは営業の主力として成果を出すことが求められるけど、お前の場合そのレベルはすでに立証済なのでその役職は必要なくて、そこはすでに卒業。次のステージへのチャレンジを会社は求めているということよ。俺はそういうふうに説明を受けたよ」
「はあ、そうですか」
「その証拠じゃないけど、この間の全社戦略会議にお前呼ばれたろ?んで立ち上がったプロジェクトチームのリーダーに、アシマネに上がった渡辺でもなく、セルスぺになった同期の井原でもなく、お前が任命されただろ?んでお前が頭のチームの、メンバーとして任命されたのが渡辺と井原だろ。だからそういうこったよ。」
「まあ、わかったようなわからないような・・・」
戦略会議。記事でも書いたが、今後の会社全体の方向性を決める会議が9月に行われ、営業の下っ端からは数名が選抜して参加させられた。今回昇格となった営業の中でその会議に呼ばれた者と呼ばれなかった者がいるが、無役で(無役となったなかで)呼ばれたのは私だけである。そして、アシマネになった渡辺さんやセルスぺになった井原くんを取りまとめるリーダーの役目を拝命している。
そうだったんだ~!良かった!!納得!!!
と、話を真に受けるほど純真ではない。職位もくっつけてくれればいいじゃん。
この話をするのが佐藤でなければ、ハイそうですか詭弁ですね、で終わりである。
しかしこの説明を私にしているのは、私が全面的に信頼する、絶対曲げない男の佐藤である。佐藤自身が正しくないと思っている説明を私にするだろうか?
きっと佐藤も少し腹に落ちない中「自分がされた説明を、そのまましよう」と決め、私に話をしてくれているのだろう。そう思うことにした。
周りの様々な反応
佐藤の次に、アシマネに昇格した渡辺さんから電話がかかってきた。
「もしもしちょっと教えて欲しいことがあるんだけど。・・・そうかなるほどね~。やっぱりそうだよね。わかったありがとう!」
渡辺さんなら絶対に自己完結できるであろう案件の相談をされ、それに応えて、サクッと会話が終わった。わかりやすいな、渡辺さん。
今回の無役になった件についての話題は、私から振り出さなければ、渡辺さんからは振りにくい。気にして電話をかけてくれたのだろう。どうもありがとう。
上岡さんはサバサバしたものである。特に今回の件で話はせず、これまでと変わらず知識面での質問がどんどんくる。態度を変えない、という態度もまた好ましい。
その他、この人事おかしいよな~!とか、まあ腐らずに頑張ろうぜ!とか、落ち込んで無い大丈夫?とか、様々な電話やメールをもらった。色々な人が私の件について気にかけてくれているのがわかり、少し嬉しかった。
そして、村野さんからの電話が入る。
「びゃひゃひゃひゃ~ぶはっ!見たよなにお前、落ちてやんの。俺と同じやで気にすんな。しかし大爆笑やな。どうすんのお前。ひゃっは~!」
これまで登場してないが、特に仲良くしている名古屋の名物マネージャーの村野さん。
爆笑の電話がかかってきた。遠慮は全く無い。少しは遠慮せい。この人も10年近く前に今回の私と全く同じ「セールススペシャリスト⇒セールス」を経験している。
「ま、でも俺は返り咲いたからな。お前も頑張れや」
そしてこの人も、そこから努力し現在はマネージャー職に就いている。
村野さんも佐藤さんも、一度落ちて、そこから這い上がっている。こういった人たちは底力があり、実力があり、人間味が深い。挫折を経験せずに順当に出世を重ねる人達よりも、自分にとってはその泥臭さが魅力的に映る。
まとめ
以上、3回にわたって、私に起きた人事について記させて頂きました。
さらっと1回で書きたかったんですが、登場人物の特徴や背景をご理解頂こうとするとどんどん文字数が多くなり…。イチ企業のイチ会社員のヒラ~係長~課長レベルの人事話を長々と書いてしまい、申し訳ありません。
3回に渡って書いた記事の結論を述べますと
★継続して安定的に成果を出し続け、かつ人格的に問題の無い営業は正しく評価された
★私は職位は無役となり、職級はそのままだった。よく分からない状態である
です。
無役である私に、アシマネやセルスぺになった渡辺さんや井原くんのリーダーをさせること。これについては、会社からの2つのシグナルを感じ取っています。
1つは、『君のこともきっちり評価しているよ』という心遣い。
1つは、『これが最後だよ』という通牒。
32歳の自分と42歳の自分。この10年間で営業として、どう成長したのか。
管理能力や対応力は付いたと思いますが、総じて営業としての戦闘力は、32歳の頃の方が高かったように思います。この成長曲線で同じく10年後の52歳をむかえ、2029年でも同じことを言っていたとするとするとどうでしょう。まさに「老害化した社員いっちょあがり!」のような気がします。
高い専門性を持ち、完全放置でも安定的に成果を上げ、重大案件もクレームも全て一人でこなす。後輩の面倒を見る。
このことについては絶対の自信を持っていますが、この域に達したのはおそらく7年ほど前の35歳の頃。その域には達しているので周囲は何も言わなくなり、その楽な環境に胡坐をかいて、それ以後の自分の成長は無いように思えます。
そしてその間、営業としても人間としても引き離されたり追い付かれたり追い抜かれたりしているのでしょう。
おそらく、私のサラリーマン人生のここが最後の岐路。
職位で降格(無役)したのは人生で初めての経験ですが、多くの気付きを得た人事でした。気付けて良かった。
今は営業個人としては「OK!じゃ見せたろうやないかい。」という前向きな気持ちでいます。営業数字は当然として、自分にしかできないもう1段上のエリアマネジメントを行い、全国にプラスの影響を波及させること。
40歳を過ぎて仕事スタンスを変えるのは、きっと簡単ではないだろうけれども。
外資系につき、12月決算の我が社。次の人事発表はおそらく2020年末、1年後でしょう。その時はまた別の視点からの記事が書けるように、仕事に励みます(その時までこのブログが続けば…)
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